道央 相続・遺言サポート行政書士
相続や遺言は、公正証書遺言をお勧めします。
遺言内容をもっとも確実に実行できるのは、公証人や証人立ち会いのもと、作成する公正証書遺言です。
このページでは、公正証書遺言とは何か、作成費用や必要書類、公証役場での手続きなど、実際に作成するにあたって必要な情報をお伝えします。
公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、自分一人で作成する自筆証書遺言とは異なり、公証役場の公証人や証人の立ち合いのもと、公正証書として遺言書を作成する方法です。
- 相続手続きの際の家庭裁判所の検認が不要です。
- 公証役場が原本の管理を行ってくれ安全です。
公正証書遺言には、遺言が無効となってしまったり、発見されなかったりするリスクを避けられるといったメリットがあります。
日本の法律では、遺言の形式として、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つが認められています。
この3つのうち、最も利用件数が多い(全体の8割以上)のが公正証書遺言です。
公正証書遺言のメリット・デメリット
公正証書遺言が好んで利用される具体的な理由としては、公正証書遺言が持つ次のようなメリットが挙げられるでしょう。
- 公正証書遺言のメリット
-
- 遺言が発見されないリスクを避けられる
- 遺言が無効となってしまうことを防げる
- 遺言の偽造を防げる
- 相続発生後、ただちに遺産分割手続きを開始できる
- 自筆する必要がない
- 一方で、公正証書遺言書には次のようなデメリットもあります・・・
- 公正証書遺言のデメリット
-
- 遺言の内容を他人に話す必要がある
- 作成に時間がかかる
- 作成に費用がかかる
公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、自分一人で作成する自筆証書遺言とは異なり、公証役場の公証人や証人の立ち合いのもと、公正証書として遺言書を作成する方法です。
- 相続手続きの際の家庭裁判所の検認が不要です。
- 公証役場が原本の管理を行ってくれ安全です。
公正証書遺言には、遺言が無効となってしまったり、発見されなかったりするリスクを避けられるといったメリットがあります。
日本の法律では、遺言の形式として、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つが認められています。
この3つのうち、最も利用件数が多い(全体の8割以上)のが公正証書遺言です。
公正証書遺言作成と公証役場での手続きの流れ
- 主にどんな財産を「誰にいくら渡すか」というおおまかな遺言内容を決めておく
- 証人2名となってもらう人を決めておく(相続人等は証人になれません。証人を公証役場で有料で手配してもらうことも可能)
- 戸籍謄本等の必要書類を準備する
- 公証人と遺言作成日程を決める
- 公証役場で遺言書の作成を行う(遺言者の自宅や病室などが作成場所となる場合もある)
- 完成した遺言書を受け取り、費用を支払う
以下、それぞれの手続き内容について詳しく見ていきます。
遺産分配の内容を決める
公正証書遺言は、公証役場で公証人に遺言内容を口述する形で作成します。
遺言の内容が決まっていないと、作成の手続きを進めることができません。
遺産となる財産の一覧を財産目録のような形で準備しておくとともに、事前に行政書士や弁護士といった人たちと相談の上で「誰にどの財産を相続させるのか」を決めておく必要があります。
遺言書で定める遺産分割の内容は、「相続人間でのトラブルを未然に防ぐ」意味があるほか、「相続税の負担金額などを決定する」ことになります。
行政書士や弁護士のほか、税理士にアドバイスをもらうのが有効です。
証人2名を決める
公正証書遺言には、証人となってもらう人が2人必要ですが、次のような人は証人となることができません。
- 証人になれない人
-
- 推定相続人、その直系血族およびその配偶者
- 遺贈を受ける人、その直系血族およびその配偶者
- 未成年者
- 公証人の親族や配偶者、公証役場の書記・使用人など
とくに注意が必要なのは、財産を与える予定の推定相続人や遺贈を受ける人が証人になれないことです。
この制限があるために信頼できる証人2名を自分で準備できずに、有料で親族以外の証人を依頼するケースはかなり増えています。(公証役場で有料で手配して貰えます)
必要書類を準備する
公正証書遺言の作成については、公証人によって要求される書類が異なる場合があるので、公証人に必要な書類を確認することをお勧めします。
公証人と遺言作成日程を決める
公証役場に連絡をして作成の日程を決めます。
遺産相続について相談している行政書士や弁護士などがいる場合には、日程調整なども代行してもらえます。
遺言者が公証役場に出向くことが難しい場合には、ご自宅や病院などに公証人に出張してもらうことも可能です。
その場合、作成費用に「日当」や「交通費」が加算されます。
公証役場にて公正証書遺言を作成する
公証人と事前にアポイントを取った日時・場所で公正証書遺言作成の手続きを行います。
公証役場に訪問するのが基本ですが、ご自宅や病院などで作成するケースもあります。
- 公証人とはどんな人たち?
-
公証人とは・・・
公証人の事務を行うためには、30年以上の法律事務の経験が要件として求められていますから、そのほとんどは過去に裁判官か検察官を経験された方です。
完成した遺言書「正本・謄本」を受け取り、費用を支払う
完成した公正証書遺言書の「正本・謄本」を受け取り、費用の支払いを行います。
遺言の「原本」は公証役場で保管し、正本や謄本は遺言者本人や遺言執行者に交付されるのが一般的です。
公証役場に原本が保管されているため、紛失や改ざんのリスクはありません。
公正証書遺言を作成するときの注意点
公正証書遺言だから確実に有効な遺言を残せるというわけではありません。
公正証書遺言を作成する場合は、以下の3点に注意!
- 3つの注意点
- 公正証書遺言より遺留分が優先される
- 公正証書遺言が無効になることもある
- 公証人は遺言の内容まではアドバイスしてくれない
1.公正証書遺言より遺留分が優先される
公正証書遺言を作成するときは、各相続人の「遺留分」に注意してください。
遺留分とは、法定相続人が最低限取得できる遺産の割合であり、配偶者や子供は法定相続分の1/2、父母には1/3が民法によって保障されています。
公正証書遺言の内容は遺言者本人が決定するため、特定の相続人に財産を集中させる、または全財産を寄付するなど、偏った遺産配分も可能です。
しかし、
公正証書遺言よりも遺留分が優先されるため、遺留分の侵害があれば、侵害している相手に対し、侵害された側が返還請求することになります。
また、遺留分の侵害額は現金返還が原則になっているため、遺留分侵害の対象財産が不動産であれば、評価額相当の現金を用意しなければなりません。
遺留分侵害のある公正証書遺言でも無効にはなりませんが、相続人同士の関係悪化に繋がる恐れがあるため、遺留分に配慮した遺言内容にする必要があります。
なお、被相続人の兄弟姉妹には遺留分がありません。
2.公正証書遺言が無効になることもある
公正証書遺言を残せば、100%確実に有効な遺言内容を残せるわけではありません。
公正証書遺言の作成は公証人の立会いのもとにされますので、形式の面でその効力が否定されることはあまり考えられません。
しかし過去には、遺言の効力が無効になったケースがあります。
- 公正証書遺言が無効となったケース
- 遺言作成時点で遺言者の意思能力が欠如していた
- 相続人の一部から脅迫や詐欺を受けた状態で遺言者が遺言書を作成
- 公序良俗に反するような遺言内容(愛人に全財産を相続させるなど)
このような遺言の場合、遺言の一部または全てが無効になることがあるので注意が必要です。
3.公証人は遺言の内容まではアドバイスしない
公正証書遺言を作成する際に公証人に依頼できるのは、書面化する手続き面での代行だけです。
相続に関するごく一般的な内容については質問に答えてもらうことが可能ですが、具体的に 「誰にどれだけの財産を残すのがより望ましいか」といった内容については相談することができません。
こうした具体的な内容について相談をしたい場合には、別途行政書士や弁護士、場合によっては税理士などの専門家に依頼または相談しましょう。
遺産相続については、相続税対策を行うかどうかによって税金の負担額が大きく変わります。
遺産トラブルを避けるために作成した遺言書が、かえって相続人どうしの感情的な対立を引き起こしてしまう事も考えられます。
遺産相続トラブルに適切に備えるためには、できるだけ早いタイミングで各分野の専門家の助言を受けるのがよいでしょう。
公正証書遺言を紛失した場合は検索ができる
公正証書遺言を作成し、公証役場に原本が保管されてからは、仮に遺言書の正本や謄本を紛失してしまっても「検索」をすればすぐ見つけることができます。
1989年以降に作成した遺言書であれば、本人の氏名・生年月日等や作成日、保管場所といったデータベースが遺言検索システム(日本公証人連合会)に登録されています。
- 遺言検索システムを利用できる人
- 生前: 本人のみ
- 死後: 遺言執行者や相続人などの利害関係者
- 被相続人の死後、遺言検索システムを利用する時に必要な書類
- 必要書類: 死亡の事実を証明する書類 (死亡日の記載のある被相続人の戸籍謄本)
利害関係者であることを証明する書類 (相続人の証明は戸籍謄本。相続順位によって必要な戸籍謄本の範囲が異なる)
本人確認書類 (運転免許証など)
- 取得可能場所: 戸籍謄本・・・本籍地がある自治体窓口または郵送
- 必要書類: 死亡の事実を証明する書類 (死亡日の記載のある被相続人の戸籍謄本)
申請者が代理人である場合は、利害関係者から代理人への委任状の提出が求められます。
注意して頂きたいのは、この遺言検索システムで確認できるのはあくまで遺言書の存否と保管場所だけという点です。したがって公正証書遺言の内容を確認するには、保管されている公証役場に出向く必要があります。